コレステロールについて

コレステロールとは

検診で高コレステロールを指摘され食生活の改善、内科受診をコメントされた人がいると思います。

何気なくコレステロールという言葉を使っていますが、コレステロールとはなんでしょうか。

コレステロールは血液の血清中に存在する脂質の成分です。動物脂肪に多く含まれていてステロイドという成分の一種です。ドーピング検査などでよく話題になるステロイドホルモンのステロイドです。これを材料にして男性ホルモンや女性ホルモンなどの性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどの大切なホルモンが作られています。コレステロールはあなたを男らしくまたは女らしくすることにもひと役かっています。

またコレステロールをもとにして消化管での脂肪の吸収に働く胆汁酸という消化液も作られています。コレステロールは普段目の敵にされることが多い物資ですが、なくてはならない大切なからだの成分でもあるわけです。ひたすらコレステロール値を下げればいいというものではありません。

血中のコレステロールは食べ物から吸収されるものだけでなく約60%のコレステロールは主に肝臓や腸管で合成され、これを内因性コレステロールといいます。残りの約40%は食べ物から吸収された外因性コレステロールといわれるものです。いくら食事制限をがんばってもなかなかコレステロール値が下がらないのは内因性コレステロールの影響があるからです。

血中でコレステロールは脂肪酸という物質と結合しているエステルコレステロールと脂肪酸を持たない遊離コレステロールという2種類のかたちで存在します。そしてこの両方をあわせて総コレステロールとよんでいます。

検診の総コレステロール値はこの値を示しています。コレステロールは生まれてからだんだん増加して男性では40歳代が最も高くその後は漸減傾向を示しますが、女性では閉経後急速に増加し60歳代で最も高くなりその後漸減します。男性と女性では、ピークの年齢が異なります。女性ホルモンのエストロゲンという物質の関与が考えられています。

血中のコレステロールの値には食事で摂られる脂質の脂肪酸の構成が影響します。飽和脂肪酸は血清コレステロール値を増加させ多価不飽和脂肪酸はコレステロールを低下させます。飽和脂肪酸は動物脂肪に多く多価不飽和脂肪酸はEPAなどさかなの脂肪に多く含まれます。異常に高いコレステロール値が低下すると冠動脈疾患による死亡率、心筋梗塞の発症率が低下します。


善玉、悪玉コレステロールということばを聞いたことがあるでしょうか。

コレステロールに正義の味方や悪者があるのでしょうか。じつはコレステロールにはからだに有利に働くものと不利にはたらくものがあることが知られています。

コレステロールは脂質なので水には溶けません。そこでコレステロールはタンパク質と結合してリポ蛋白という水に溶けやすいかたちをつくって血中に溶けています。このリポ蛋白の粒子の重さが軽いものを低比重リポ蛋白(LDL=low-density lipoprotein)、重いものを高比重リポ蛋白(HDL=high-density lipoprotein)と呼んでいます。このうちHDLは体内で余剰となっているコレステロールを体外へ排出するのに関係しています。HDLの作用により組織で不要となった遊離型コレステロールはエステル型に変えられ肝臓で処理され余分なコレステロールが処理されてなくなります。このコレステロールが多いとからだからたくさんの余分なコレステロールがでていくわけです。HDLが高値であるほうが冠動脈疾患のリスクが低下することが知られています。そのためHDLのことを善玉コレステロールと言うわけです。それに対してLDLは細胞へどんどんコレステロールを送る働きをしています。LDLが多いとからだにコレステロールがどんどんたまって動脈硬化がすすんでしまいます。そのためこれを悪玉コレステロールとよんでいます。

コレステロールの中では総コレステロール値よりも悪玉コレステロールと呼ばれる低比重リポ蛋白(LDL)の値のほうが冠動脈疾患のリスクにより関係していると考えられています。LDLは酸化されやすく、酸化されて変性した脂肪が動脈硬化に関係しているからです。食用油の酸化したものは、変色して臭くなり味が悪くなりますが、ひとのからだでも酸化したコレステロールがからだに悪影響を及ぼします。コレステロールを考えるには単にコレステロールが多い少ないといったことだけでなくいかに酸化したコレステロールを減らすかといった質の問題も大切です。この酸化LDLを測定して脳梗塞や心筋梗塞発症のリスクを評価する検査を当院で行っています。


コレステロールと麹の関係性について

麹の種類

麹とは、穀類に食品発酵に有効なカビを繁殖させたもの。麹菌と関係する食品。

麹菌かびの一種。キノコ以外の糸状の菌糸を持つ菌類はカビといわれる。
黄麹黄麹菌 Aspergillus oryzae 味噌 醤油 味醂 日本酒
黒麹黒麹菌 Aspergillus awamori 泡盛 焼酎
白麹白麹菌 Aspergillus kawachii 焼酎
紅麹紅麹菌 Monascus属 紅色系色素を生産 豆腐よう 食品着色料

※1979年 Monascusの1種からコレステロール合成阻害剤モナコリンK(ロバスタチン)が発見された。

紅麹について

今日は紅麹の話です。
コレステロールが高い人 ぜひ参考にしてください。

コレステロールが高くて困っている人に紅麹を勧めています。
紅麹にはコレステロールを下げる力があるからです。
最初は半信半疑だったのですが、患者さんに試してもらうと本当に下がります。

高コレステロール血症に対し病院ではHMG-coA還元酵素阻害薬スタチンという薬が処方されます。
リバロ クレストール リピトールといった薬がよく使われています。
これは体内でのコレステロールの合成をおさえてコレステロールを下げる薬です。

このスタチンという成分はカビのなかから発見されました。
1970年代後半 日本人の遠藤さんが青カビ 続いてカビの一種である紅麹からコレステロールを下げる効果のあるスタチンを発見しました。その後いろいろ改良が加わり現在の強力な薬が開発された経緯があります。
この薬の起源はカビにあります。天然のスタチンを含む紅麹をたべると薬と同じように効果が期待できるのです。化学的に修飾して効果を最大限に高めた新薬に比べれば効果は弱いかもしれませんが天然のものです。紅麹を使った食品で有名なものは豆腐ようです。

おいしいですが、さすがに一度にたくさん毎日は食べられません。
当院では紅麹サプリメントを勧めています。
食事制限でコレステロールが下がらないけど薬は飲みたくない方 ぜひ試してみてください。 サプリは高品質なものにしてください。
フレンチパラドックスといって 高脂肪食を多くとるにもかかわらずフランス人に虚血性心疾患が少ないのは赤ワインに含まれるポリフェノールのためだといわれています。
もちろんレスベラトロールなどポリフェノールの効果があると思いますが 青カビのチーズの効果もあるんではないかと私は思います。

カビを味方につけましょう。
お酒でも麹にはお世話になってます。お世話になりっぱなしです。


赤ワインとフレンチパラドックス

French paradoxという言葉を聞いたことがある人もいることだと思います。

一般的には飽和脂肪酸の多い肉料理をたくさん食べるひとに心筋梗塞など心臓病で死亡する危険性が高いことが知られています。しかしフランスでは必ずしもそうとは言えず赤ワインをたくさん飲む人は動物性脂肪を多く摂っているにもかかわらず心臓病の死亡率が低かったというフレンチパラドックスと言われる現象が報告され一躍有名になりました。

これは赤ワインに含まれるポリフェノールによる抗酸化作用などによると考えられています。

ポリフェノールという言葉は同じ分子の中にたくさん(ポリ)のフェノール性水酸基(フェノールとは石炭酸C6H5OHともいう有機化合物のこと)を持つ植物成分の総称です。ほとんどすべての植物に含まれ全部で約5000種あると考えられています。植物自身が動物や昆虫など外敵による摂食や病原菌による感染症から植物自身を守り環境因子の攻撃から身を守り生きるために、樹皮、葉、花などに含んでいます。いくら太陽光線や紫外線をあびても植物が平気でいられるのはポリフェノールが茎や葉っぱにふくまれているからです。ポリフェノールのなかには植物の色素や苦味の成分であるフラボノイド、イソフラボン、アントシアニン、カテキン、タンニンなど多くの種類があります。これらのポリフェノールは人体においても有用で血糖値やコレステロールを低下させ生活習慣病の予防、抗がん作用、抗菌作用があるとも考えられています。

赤ワインにはレスベラトロールやタンニンなど強力な抗酸化物質が含まれています。

タンニンはカテキンが酸化されて重合したもので蛋白質と結合して凝集したり金属イオンなどと反応して難溶性の塩をつくったりする水溶性化合物(多価フェノール)の総称です。タンニンと他のタンパク質や金属イオンを含む水溶液が混ざると沈殿や濁りがおこります。赤ワインの底の沈殿物がタンニンの塊です。他の物質とタンニンが反応して沈殿することをタンニン活性といいお茶に含まれるカテキンはこうしたタンニン活性をもつのでタンニンと呼ばれることもあります。

貧血があって鉄剤を服用しているひとはお茶で薬を飲んではいけません。せっかく鉄剤をのんでもお茶のなかのカテキン(タンニン)が鉄と反応して沈殿してしまい鉄の吸収を悪くすると考えられるからです。もちろんワインで薬を飲むのもご法度です。タンニンをたくさん含んだ植物を摂るとわたしたちの食道、胃、腸などの臓器の表面の蛋白にタンニンが結合して被膜をつくって粘液の分泌を抑制します。この作用を収斂作用といって下痢をとめる作用がありタンニンは下痢の治療に使われています。タンニンを摂りすぎると今度は便秘になってしまうので便秘がちのひとはタンニンをとりすぎていないか食生活のチェックが必要です。

ワインを何年何十年も熟成させられるのは抗酸化作用の強いタンニンなどのポリフェノールによります。高級ワインほど抗酸化作用が強いのかもしれません。

みなさん赤ワイン飲んでますか。

ワインの原料となるブドウの中ではカベルネソーヴィニョンのタンニンが最も多いため渋みが強くピノノワールは渋みがなく酸味が強いようです。そしてメルローはその中間といわれています。わたしは断然ブリジットバルドーのようなフルボディが大好きです。イタリアワインではモンテプルチアーノダブルッツオやシシリアワインが好きです。


医療機関情報

院長名イチカワ ユキオ
市川由紀夫
医療機関名イリョウホウジン
医療法人
ヨコハマグリーンクリニック
横浜グリーンクリニック
郵便番号〒234-0054
所在地神奈川県横浜市港南区港南台4-22-9
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